やっぱりスパイ物は冷戦下がしっくりくる。「コードネーム U.N.C.L.E.(2015)」
『コードネーム U.N.C.L.E.(2015)』
原題 The Man from U.N.C.L.E
60年代のTVドラマ「0011ナポレオン・ソロ(The Man from U.N.C.L.E)」のリメイクのようですが、オリジナルは未見です。
"MI"と"007""ボーンシリーズ"のスパイ比較を、ちょっと前にやってみたんですけど。
なんか私、あんまりスパイには萌えないみたいです。
あ、萌える萌えないで、観る映画を決めててすみません!"キングスマン"も面白かったけど、なんか隙間がどこかに空いてる感がしていました。
で、本作を観た第一声はこれです。
「しっくりきた(ぴったりきた)!」
やっぱスパイ物は冷戦下に限ります!
60年代のテレビドラマ「スパイ大作戦」のリメイクであるMIは、現代仕様に変えられてました。007もそうです。そうなると混乱してくるのが、スパイって誰と戦ってるの?ですよ。
※フロイトがなんか言って来そうな拳銃のでかさです(笑)
基本冷戦下の米国・英国スパイの敵って、KGB(スパイ)じゃないですか?
1991年KGBがソ連崩壊と共になくなった現在、スパイの敵はスパイじゃなくなったんです。
最近のスパイ映画では、敵はテロ組織・悪の集団のようですが、MIではチームで動くけれどもあくまで少数で、007ではピンチに女性の手を借りるけど、そしてその女性とHはするけど、でも命は助けないけど、基本ボンドは個で動いてる。うんと、無理だから(笑)
MI:5でも、007スカイフォールでも「スパイ組織いらなくね?」って言われてます。誰と戦ってるの?って。
でも流石、リスクファクターがちゃんとしています。私みたいなひねくれた観客の疑問を先回りして、でもね!な議論をMに展開させて説得力をもたせてますもんね。MI:5ではブランドがその役目を担ってました。
でもね、対テロ、対何かしらの悪の集団なら、国にもっと適切な、専門の部署があると思うんですよ。アメリカのSOCOMみたいな。
え?エンタメだから、そんな細かいことはいい?
でもー、チート感ハンパないスパイ1人に国の危機を託すとか、もう現在ではSFでしか成り立たない設定だと思いまーす。
あ、思い込みです。すみません。
長々とすみません。
本作はCIAのナポレオン・ソロ(ヘイリー・カヴィル)と、KGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が力を合わせて、ナチスの残党である悪の組織に立ち向かうお話です。
でも後ろには、イギリス軍がついてます。
あぁしっくりくる!
あと、冷戦下(60年代)にCIAとKGBのバディ物って、そうとう思い切った設定だったと思います。
バディでありながら、2人は別々の国を背負っている。敵で、相棒。
違ったキャラのイケメンのバディ物を撮らせたら、右に出る者がいない(多分)ガイ・リッチー監督。
スーパーマンに女たらしのコミカルな演技をさせしょうもない下ネタを言わせ、
ソーシャル・ネットワークで残念な双子を演じていたアーミーに、ハニカミ笑顔の純情な堅物を演じさせる。
ヒロイン:ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)とイリヤのちゅーする?しない?萌えに、じたばたさせられる。
背が高いイリヤと、テーブルの上に乗った小柄(に見えるのはイリヤがでかいせい)なギャビーとのちゅーする?しない?やっぱしない!なシーンに、ちょ、ガイ!と突っ込みました。
そういえばこのギャビー、しゃりしゃりしたハスキー声でむっちゃ可愛い。酔って踊って、イリヤに喧嘩を仕掛けて、むっちゃ強くて、マウント取って、そのままイリヤの上で寝落ち!なに?この可愛さ!?それをイリヤが抱えて、ベッドまで連れていく。
いやー、ガイ・リッチーって、心得てる。
なんか分かんないけど、やっぱ心得てる。
そしてイリヤむっちゃタイプ!背が高くて堅物で、でも好きな女性の前ではその表情が柔らかく溶ける。
"ビーバップ・ハイスクール"で、中村トオルさんの魅力に気付けなかった自分を、30年近く責めていますが、"ソーシャルネットワーク"で、アーミーの魅力に気付けなかった自分を、昨夜から責めています。ごめんなさい。
ただ、もうちょいナポレオンとイリヤの掛け合いが面白いと良かったなぁと。"シャーロック・ホームズ"のロバート・ダウニーJRと、ジュート・ロウの2人のように。
あれ、絶妙ですよね?
ガイ・リッチーの他作品の比べると、台詞にコストがかかってないような印象を持ちました。
その分、お洒落感を増量気味。
睡眠不足が続いていたせいで、ちょいちょい意識が別世界を漂いました。
時々、かっけー音楽が流れて、はっと意識が覚醒する感じ。後半のルパン三世ばりなカーアクション(水に車がダイブするとルパン三世を思い出します)、もっと最初からバンバンください。
今後も、007が失ってしまったスパイ・ユーモア枠を、奪いにくるスパイ映画が増えるんでしょうか。ちょっと楽しみです。萌えないけど(笑)